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【ウェディングストーリー】 カップルの幸せは世界の幸せ!進め、新米ウェディングプランナー!

投稿日:2017年1月5日 更新日:

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marrial編集部

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「カップルの幸せは、世界の幸せに繋がる」
そう信じてやまない、新人ウェディングプランナー美佳。

ホールの仕事をしながら結婚式の光景を眺めていた美佳が、初めて挑むプランナーとしての仕事・・・・・・。
果たして結婚式は上手に行くのでしょうか!?

 

「ちょっと、なに今の言葉使い!? 何度も同じ事注意させないでよ!」

(あーもう! 同じミスをしたことくらい、自分が一番分かってるんだってば……!)

唾と一緒に、喉までこみ上げてきた心の声をゴクッと飲み込む。いつもポケットに忍ばせている仕事メモを開き、ほんの数日前に書き込んだ「やってはいけないこと」リストを眺めると、はぁっと深いため息がこぼれる。

(負けないの美佳。カップルの幸せは、世界の幸せに繋がる!)

ぐっと押し寄せてくるマイナスの感情の波を押し戻すように、心の中で今日すでに10回目となる自分自身へのおまじないを唱えた。

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吉田美佳、20歳。ウェディングプランナーを夢見て結婚式場で働きはじめて4カ月、いまだにホールスタッフとして働く毎日。くじけそうになった時には、決まってあのおまじないを唱えると決めている。馬鹿げていると思う人もいるかもしれないけど……本気で信じている。カップルの幸せが世界の幸せにつながるって!

「一体、この世界は、何!?」

あの日の衝撃を、美佳は今でも鮮明に覚えている。

ホールスタッフとして初めて参加させてもらった結婚式。深い愛情と幸せへの決意を感じる新郎新婦の互いを見つめ合う視線、全身から溢れ出る幸せのオーラ、花嫁を自然にエスコートする新郎の優しい手、その手を柔らかく握る花嫁の指の動き、ウェディングドレスに身を包んだ娘の背中を少し切なそうに、でも幸せそうに見つめて頬を緩める父親の口元、ベールダウンを終えた瞬間、人知れず流していた母親の涙、どこを見ても視界に入ってくる、幸せと祝福で満たされた笑顔……。

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目の前でドラマか映画でも繰り広げられているのかと思うほど、美佳にとってはなにもかもが初めてで、新鮮さを通り越して非現実的な光景だった。終始、自分だけが世界から取り残されたような気持ちで、ただただ目の前に広がる夢物語のような現実を見つめていた。

「あんな幸せな空間があるなんて……」

初めての結婚式での仕事を終えた日の夜。興奮が冷めきらず、ベッドに入ってからもしばらくぼんやりと天井を見つめて、結婚式での出来事を振り返っていた。

美佳にとってはまったくの他人である、とあるカップルの結婚式。疎外感を感じながら過ごしていたにも関わらず、自分でも意外なほどあの二人の幸せを心から願っていた。そして結婚式後から感じている、ほんわりと胸が温まる不思議な気持ちの正体が何なのかを考えていた。

「これって……あの二人の幸せが私の心に伝染したんだ……(!)」

生まれて初めて抱いた不思議な感情のパズルを紐解いた瞬間、美佳の心にずーっとかかっていた濃い霧の固まりがパチンと音を立てて弾けたのを感じた。

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ガバっと勢いよく布団から起き上がり、ひとつもこぼしてしまわないように、無我夢中で今しがた感じた気持ち、今日見た結婚式での光景一つひとつをメモにとった。荒っぽく書かれた文字が、美佳の心の動揺を表している。

「私、幸せなカップルをプロデュースする幸せなウェディングプランナーになろう」。

メモにすべて吐き出した後、美佳は生まれて初めて、未来の夢を描くことができた。

それまでの美佳は、自分がなにをしたいのかも分からないまま、エネルギーを持て余す日々を送っていた。周りの友だちは当たり前のように夢を語り、なんの疑いも抱かず夢に突き進んでいく。その姿が眩しく羨ましく感じつつも、美佳はただ一人夢を描けずにいた。

「私も夢中になれるなにか見つけなきゃなぁ」。そんな思いを抱えながら悶々としていた時、たまたま目にしたのが結婚式場でのアルバイト募集だった。最初は「華やかで楽しそうだな」程度の軽い気持ちで足を踏み入れたこの世界。ウェディングプランナーという仕事も、面接に行くまで聞いたこともない職業だった。

接客経験なし、パソコンスキルなし、覚えることは山のようにあって、持ち前の明るさだけでは乗り切れないことも多い初めてのことだらけの仕事。

入社して1カ月経った頃、なんの成長も感じない自分に嫌気がさして「もう辞めちゃおうかな」そんな思いが頭によぎりはじめた時、初めてホールスタッフとして参加したあの結婚式が、美佳の人生を180度変えた。

(カップルの幸せは、世界の幸せに繋がる!)

あの結婚式以来、美佳はくじけそうになるたびに、このおまじないを唱えて自分を奮い立たせていた。

「あの時感じた“幸せの伝染”を一人でも多くの人に体験してもらうことができれば、世の中の幸せの総量が絶対に上がる! 私は、そんな幸せの“元”」をプロデュースするウェディングプランナーになりたい!」

その思いは日に日に強まり、想像以上に美佳の毎日の心の支えとなっていた。

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「美佳さん、ちょっと、いいかな?」

“幸せなカップルをプロデュースするウェディングプランナー”を志して数カ月が過ぎ、その頑張りが認められて美佳は正社員になることができた。そしてさらに数カ月が過ぎたある日、美佳の指導係である先輩ウェディングプランナーの浅野から改まって呼び出しがかかった。

(え!?  私、またなにかやらかしちゃっちゃのかな……)

自らの直近の行動を思い出せる限り振り返りながら浅野の元を訪れると、そこには予想外の展開が待っていた。
「今度うちで式を挙げることになった新郎新婦様のプロデュース、美佳さんに任せてみようと思うんだけど、どうかな?」

「本当に、すみませんでした……!! ん?……っって、えええええ!?!?」

指導を受ける覚悟を持って臨んでいた美佳の頭は、浅野の言葉を理解できずに一瞬真っ白になってフリーズした。
「え?じゃなくって、結婚式のプロデュース。美佳さんはホールスタッフじゃなくて、ウェディングプランナーやるために正社員になったんだから、当たり前じゃない。これからもっと忙しくなるから、覚悟してね。一緒に、頑張ろうね!」

「……………」。

浅野から放たれた言葉を理解するまでに要した数秒間の沈黙の後、美佳はどくどくどくと激しく胸に押し寄せる歓喜の波を感じた。

(遂に、遂に、遂にこの日が来たんだ!! 幸せなカップルをプロデュースするウェディングプランナーへの第一歩。私、夢への一歩を踏・み・出・し・て・る!!)

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嬉しすぎてふわふわ宙に浮いたような気持ちで数日を過ごした後、いよいよやってきた新郎新婦との打ち合わせ初日。その日の打ち合わせの内容は、招待状についての段取り。自分なりに事前準備も行ってきたつもりだ。

ところが美佳は、そこで一気に現実を突き付けられることになった。貰ったこともなければ、送ったことももちろんない招待状。美佳は、文面一つをとっても新郎新婦に対してなに一つ有意義な提案をすることができなかった。同席していた浅野のフォローでなんとかその場をやり過ごしたものの、美佳はプランナーとしての自分の無力さにショックを隠しきれなかった。

「先輩……うぇっ。私……うぇっ。ダメな後輩で、本当に、本当にごめんなさいぃぃぃぃ……!!!!」

打ち合わせを終えた後、美佳は恥じらいもなく大きな声を上げてワンワン泣いた。幸せなカップルの結婚式を「見る」のと「プロデュースする」のとではまったく違うことを痛感した。ホールスタッフとしてそれなりの数の結婚式に参加していたことで、プランナーとしても経験値を積んだつもりでいた自分が恥ずかしくて情けなかった。

「もう! 泣いてもなにも変わらない! 私がまたみっちり面倒見るから!」

美佳よりも5つ年上の浅野はプランナー歴5年目の中堅。その小さな体のどこにそんなパワーがあるのかと思うほど、誰よりも働き誰よりも努力をする先輩だった。カップルに対する提案力も好評で、浅野が担当したカップルは揃って「浅野さんに担当してもらえて本当に良かった」と口にした。

ウェディングプランナーという仕事に真剣に向き合っている分、浅野はその指導の厳しさでも有名だった。でも美佳は、浅野が本当は褒め方が不器用なだけで、誰よりも後輩想いの先輩だということを知っている。それは、浅野が美佳のためだけに準備してくれたオリジナルの研修資料の存在が物語っている。

覚えの悪い美佳がどうしたら早く仕事を覚えて、楽しく取り組むことができるのか……浅野は毎晩遅くまで残って資料作りに葛藤していたのだ。そのことを別の先輩づてに聞いて知った美佳は、ウェディングプランナーとしてのもう一つの目標を立てた。それは、いつか浅野が自慢できる後輩になること。

それからの美佳は、どんなに厳しい浅野の指導も愛と捉えて受けとめることができ、いつしか二人の間には先輩後輩としての信頼関係が築かれていた。

そして打ち合わせ初日での大挫折を経た後、浅野のバックアップを全面的に受けながらも、美佳が初めてプロデュースする結婚準備は着々と進んで行った。

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(カップルの幸せは、世界の幸せに繋がる)

遂に迎えた当日の朝。美佳は大きく深呼吸をして、あのおまじないをいつもよりゆっくり唱えた。

正直、浅野のフォローなしではこの日を迎えることはできなかったと思う。でも確かに今、美佳は初めてプランナーとして結婚式に関わっている。

式のあいだは緊張しすぎて、まるで音が消えた世界の中にいるようだった。視界はいつもの結婚式で見る幸せな笑顔で溢れているのに、その笑い声や話し声は一切耳に入ってこない。美佳はただ、頭の中で何千回と繰り返してシュミレーションしてきた式のプログラム一つひとつを、願うような気持ちで取り組んでいった。

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「よく頑張ったね! いい結婚式だった!」

浅野にポンと肩を叩かれた瞬間、結婚式のすべてのシーンが、音を取り戻して美佳の記憶の中で蘇った。張りつめていた緊張の糸がプツンと切れ、美佳は浅野の前で二度目の大号泣を披露した。頭の中は、新郎新婦、家族、ゲストの幸せに満ちた笑顔と声で溢れている。その幸せな記憶が、美佳を余計にワンワン泣かせた。

(カップルの幸せは、世界の幸せに繋がる)

夢を思い出すためのおまじないだったこの言葉が、この日をもって確信へと変わった。泣きながらも美佳は、ウェディングプランナーとしてのスタートラインにようやく立つことができたことを、心の奥で確かに感じていた。

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