再婚による子供の戸籍手続きに必要なことは？

前夫との間に子供がいる女性が新たに再婚するとき、子供の苗字はどうなるのでしょうか？
また、子供の戸籍はどうなるのでしょうか。
今回は、再婚による子供の戸籍手続きについて紹介します。

親権を持つ母親が再婚する場合、子供の戸籍はどうなる？

離婚する際に未成年の子供がいる場合は、親権者を父母どちらかに定めて離婚の手続きをします。
このとき、親権者の戸籍に子供が入るかというとそういうわけではありません。
親権を持たない父親の戸籍に子供が残り、母親だけが離婚の時に戸籍を抜けるパターンもあります。
この場合は、母親が再婚する場合でも子供の戸籍は変わりません。

ただ、多くの場合は親権を持つ方の親が子供と同居し、自分の戸籍に子供を入れているパターンが多いかもしれません。
母親が親権を持ち、母親の戸籍に子供が入っていて母親が再婚する場合、子供の戸籍はどうなるのでしょうか？

婚姻届を出すことで母親は再婚相手の男性と同じ戸籍に入ることになりますが、子供も自動的に同じ戸籍に入るわけではありません。
原則として、母親の戸籍から母親だけが抜け、子供はその戸籍に残ることになります。
母親が元いた戸籍には子供だけが残ることになるというわけです。
この場合、再婚相手の戸籍上は、子供は「子」などではなく「配偶者の子」という表示になります。

子供を再婚相手の戸籍に入れるためには、どのような手続きが必要？

再婚後に子供の戸籍について何もしなければ、子供は夫婦とは違う戸籍のままです。
当然子供の苗字も変わりません。
そのため、子供を再婚相手の戸籍に入れるには、入籍届を役所に提出する必要があります。

しかし、これだけでは再婚相手と戸籍が同じになっただけで、再婚相手と子供の間には親子関係は生まれていません。
そうすると、新しい再婚相手には子供の扶養義務がありません。
あくまでも「配偶者の子」として扱われるからです。

さらにもしもこのまま再婚相手が亡くなった場合には、子供には再婚相手の財産を相続するための相続権も発生しません。

法律上実子と同じ扱いにするためには、子供と再婚相手の男性との「養子縁組」という手続きが必要です。
養子縁組をした場合、戸籍上では再婚相手の「養子」という表記になります。
なお、子供を再婚相手の戸籍には入れないけれど再婚相手の苗字は名乗らせたいという場合は、養子縁組ではなくて「子の氏の変更申し立て」という手続きをとる必要があります。

普通養子縁組と特別養子縁組の違い

養子縁組には、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2つの種類があります。
それぞれの違いを押さえておきましょう。

一般的に、再婚して養子縁組をする場合は普通養子縁組となります。
特別養子縁組とは、虐待や貧困など、何らかの事情で子供が両親と一緒に生活することが難しいといったような、子供の福祉を守ることが必要な場合にとられる措置だからです。

特別養子縁組を組むと、実親と養子となった子供の親子関係が解消されます。
その結果、実親が亡くなった場合には子供に相続権は発生しません。
同じく実親と子供の間で扶養義務もありません。

このように、特別養子縁組は特殊な事情がある時のための制度ですが、実親と子供との法的な親子関係が解消されるため、より密な親子関係を築くために再婚後に特別養子縁組を選択する夫婦もあります。

一方、普通養子縁組の場合は、子供は実親と養親のどちらに対しても扶養義務と相続権を有します。
実親と子供の親子関係は解消されるわけではないというところが大きく異なるところです。

再婚する際には、子供の戸籍を再婚相手と一緒にするか別にしておくか、子供の苗字を再婚相手と一緒にするか母親の旧姓のままにしておくか、という選択肢があります。
中には、子供を再婚相手の戸籍に入れず、「子の氏の変更申し立て」の手続きをして、苗字だけを再婚相手と同じものにする人も。

しかし、一般的には再婚相手の戸籍に子供を入れ、実子と同じような扱いにする家庭が多いでしょう。
その場合は、養子縁組の手続きが必要です。

子供を連れての再婚はなにかと手続きや立場が複雑になりがちですが、再婚する前にどういったスタンスにするのかを、再婚相手としっかりと決めておくことが必要です。