
結婚式で着るウェディングドレスを選ぶのは人生の一大イベント。色、モチーフ、細かいデザイン……ドレスを選ぶポイントは色々ありますよね。それは目から見える情報に限りのある視覚障害者でも同じ。こだわりたいポイントはたくさんあるんです。
「視覚障害者だけど、ウェディングドレスは自分で選んだイメージ通りのものを着たい!」
「でも、ちゃんとイメージどおりのドレスが見つかるんだろうか」
「ドレスを試着しに行ったら、店員さんは困っちゃうのかな……」
「ウェディングドレスを着た私って、どんな姿なんだろう?」
片目は全盲、片目は鉛筆の芯ほどの視野だけの私。色んなワクワクと不安を抱えながらドレスショップへウェディングドレスを選びに行ってきました。
取材協力:bittersweet(新宿)
視覚障害者の私がウェディングドレスを選んでみた
1.まずはカウンセリング

お店に到着! 担当の大波さんが試着コーナーへと案内してくれました。テーブルをはさんでいくつか質問をされます。
- 式の日にちの確認
- 普段の洋服のサイズ
- 着たいドレスの色やデザインのイメージ
- 予算
- 新郎のタキシードのイメージ
とても丁寧で話しやすい! 着たいドレスのイメージも細かく伝えることができました。
私の希望は、純白でレースやリボンがついた可愛いイメージのドレス!
2.ドレスを選ぶ前に手袋を装着

早速ドレスを選びたいのですが、その前に。ウェディングドレスは繊細な素材で出来ているので、手袋をして「おさわり」をします。特に私は目が見えないので、たくさん「おさわり」して確かめないと!手袋をはめるのにはちょっと苦戦しちゃいました。緊張がまだ解けていなかったみたい。
3.ドレス選び!違うイメージの3着を選びました

手袋をはめたら大波さんの案内でドレスコーナーへ!
大波さんの説明を聞きながら、さっそく「おさわり」をする私。目が見えなくても、どんなドレスか説明していただいて、自分の手で触れば可愛いドレスかどうか分かるものですね。大ぶりのレースがついたものや異素材で肌触りが面白いドレスはやっぱり気になります。
ウェディングドレスを熟知している大波さんの丁寧な説明も頼りになります。

自分の当初のイメージ通りだった可愛いドレスがあったので、1着は即決! 残りの2着は大波さんの説明を聞きながら、少し違うイメージのものを選んでみました。他にも気になったドレスはあったんだけど、サイズと日にちの都合上断念。でも、試着前に確認してくれたからとっても助かりました!

4.試着のお手伝いも完璧!

広々とした試着室に大波さんと一緒に入って試着です! ウェディングドレスはとってもボリュームがあって、着るのも一苦労。背中のひもを締め上げる時には気も引き締まります。スカートを頑張って持ち上げて、大波さんのサポートのもと、いざ鏡の前へ!
ウェディングドレスを試着してみました!

全体を確認する前に、髪の毛をアップにしていただいて、アクセサリーをつけてもらいました。
- 真珠のティアラ
- ダイヤのついたネックレス
- 雪の結晶モチーフのイヤリング
- 長手袋
- ベール
このまま挙式に出られるフル装備! ドキドキしながら、鏡の前の私を見てみます。
1.純白のプリンセスラインのドレス

胸元が総レースで、ウエストから下がチュールのふわふわしたドレス。今回選んだ3着の中では最もウェディングドレスの定番に近い形のドレスで、大波さんのオススメでもありました。
着てみるとすごく綺麗。自分が自分じゃないみたいで、さっきまでたくさんおしゃべりしていたのに、何も喋れなくなってしまいました。大波さんが色々お話しながら緊張を解いてくれようとしてくれましたが、無理でした(笑)。だって、本当にお姫様みたいだったから!
2.ウエストベルトあり、ティアードスカートのドレス

純白よりかは少しベージュ寄りの色のこちらのドレスは、大波さんからのオススメ。スカートについたたくさんのレースをおさわりして、着てみたい! と思ったドレスです。
でも、着てみるともう1つお気に入りポイントが。それはきゅっとしまったウエスト! ウエストベルトのリボンも可愛くてポイントになります。
ティアードスカートもやっぱり素敵。1番のお気に入りになりました。大波さん、さすがウェディングドレスのプロですね!
3.LIZ LISA風!?お花のついた異素材ドレス

最後は私の希望だったとにかく可愛いイメージのドレス! フリルがいっぱいで可愛いし、色も純白。スカートは異素材MIXになっていて、手触りも面白くて素敵。お花もたくさんついています。
このドレスだったら挙式の時の「新婦のドレスおさわりタイム」も楽しんでいただけるかも!?
視覚障害者でもドレスは選べる!とっても楽しかったです!

ドレスの試着、とっても楽しかったです! 視覚障害があっても、スタッフさんによるドレスの説明や、存分なおさわりタイムがあれば妥協せずウェディングドレスを選ぶことができるんですね。
ところで大波さん、私が視覚障害者で、何か困ったことってありませんでしたか?

大波さん「どうしてさしあげたらいいのかが分からなくて少々もどかしい点がありました。でも『こうしてほしい』とも言いづらいでしょうし……。私どもも最大限工夫させていただきますが、対応などのご要望があれば遠慮なく仰っていただきたいです。口頭で説明し、視覚障害者の方がドレスを触る流れになるので、提案されたイメージに応えられるよう、自分たちのドレスのことを熟知していないといけないなと実感しました。」
なるほど。ウェディングドレス店に入ると緊張してしまうけど、やっぱり「こうしてほしい」という要望はしっかりお伝えした方がいいんですね!視覚障害者に限らず、全ての人に共通することかもしれません。
そして今回とても手厚いサポートをしていただけて何も困らなかったのに、なおサービス向上に努めるプロ意識の高さに脱帽です!

今回は視覚障害のある私がウェディングドレス店に実際に足を運び、約2時間で3着のドレスを試着させていただきました。本当に本当に楽しかったです!見えなくても、サポートがあるし、たくさん触って悩めるし、提案もしてくれるから大丈夫。
ウェディングドレスにお悩みの皆さん、ぜひ一度試着に行ってみてください!
※【障害者】の表記に関して、下記の2つの理由から漢字表記とさせていただきます。
・法律上の表記はすべて「障害者」となっている
・視覚障害の方などが利用されるテキストの音声読み上げソフトが「障がい者」という平仮名表記を正しく読み上げることができないことがある