「初めて会った時のようなドキドキする気持ちがなくなってきた。もう彼のこと好きじゃないのかな?」と不安におもうことなかれ。ドキドキしなくなったのは、好きじゃなくなったのではなく、安心できるパートナーだと認識し始めた、という証拠なんですよ。
そもそもなんで恋ってドキドキするの?
サイエンスの話をしましょう。そもそも人が恋に落ちると胸の鼓動が高鳴り、顔が火照りドキドキが止まらなくなってしまうのでしょうか。それには脳のホルモンが影響しています。
人が恋に落ちるときは、「ノルアドレナリン・フェニルエチルアミン・ドーパミン」という3つのホルモンが脳内に出ていると言われています。
ノルアドレナリンはアドレナリンの生産を刺激し、心臓をドキドキさせ手のひらに汗をかかせます。ドーパミンは「快楽物質」と呼ばれ、気分を高揚させ「楽しい」という感情を刺激します。そしてフェニルエチルアミンは、人が恋に落ちた時に放出され、あの目がくらくらするような気持ちにさせるのです。
これら3つのホルモンによる作用があの「ドキドキ」の正体なのです。「じゃぁドキドキしなくなったことは、ホルモンが出なくなったということであり、それってつまり恋をしなくなったということじゃないの?」という疑問が湧いてくると思いますが、そうではないのです。
ドキドキしなくなるのは、安心している証拠
あなたが家族と話をしている時、大好きな友人と遊んでいる時、いちいちドキドキしないのと同じように、ドキドキしなくなった恋人に対しては「安心感を抱き始めている」のです。つまり居心地の良さを感じているということでもあります。
恋に落ちた時には3つのホルモンが大きく影響していると説明しましたが、安心感を得ているような感情の時には、また別の2つのホルモンが作用していると言います。それがセロトニンとオキシトシンです。
セロトニンは心を落ち着かせる作用のあるホルモンであり、オキシトシンは愛情を感じるためのホルモンだと言われています。どちらもメンタルを安定させる非常に強力な作用のあるホルモンですが、このホルモンが出始めているということが、二人のパートナーシップがうまくいっているという何よりの証拠なのです。
本当の恋愛は、ドキドキしなくなってから勝負
相手のことをパートナーとして認め始めた時から、逆にドキドキしなくなるということは、裏を返せばドキドキしなくなってからが、本当のパートナーシップの始まりだということです。
常にドキドキしていては「一緒にいて楽」という状態も作れませんし、この先何十年も一緒にいるならしんどくて大変です。もちろん、たまにはスパイスとしてドキドキするような感情を味わうのは大事でしょう。しかしそれが続くのは短期的な期間だけです。
二人の愛が長く続いていくためには、お互いにとって居心地のいい環境を提供し続ける、ある種の「努力」が必要になってきます。ドキドキしなくなったから冷めるのではなく、ドキドキしなくなったからこそ燃えなくてはならないのです。
それが未来永劫続く二人の愛情を形成する第一歩なのですから。