もし、車いすユーザーが結婚式の相談に行ったら、ウェディングプランナーさんは戸惑うのかな?回答に悩むのかな?
そんなことを確かめるべく、私の結婚式についての相談内容を原稿にしちゃいました。
私、車いすですけど、まったく気にしないんだ!
「本日担当させていただきます、久保です。今日はできる限りイメージがわきやすいようにしっかりお話が出来ればと思いますので、宜しくお願いいたします。早速なんですが…」
車いすに乗っていることなんてまったく気にすることなく、相談に乗ろうとする久保さん。
こういうときって「車いすなんですね、ハァ」みたいな反応を示されることがある私は、突っ込まれないことに全然慣れてない。
車いすであることを気にせずに進めてくれるのはけっこう嬉しくて、いいコミュニケーションが取れそうな雰囲気。
「まだまだわからないこともいっぱいあると思うので、お二人のイメージが湧くように、しっかりとご説明したいと思います。」
結婚式についてプランナーさんに相談することは初めて。一般的なカップルでも、プログラムや費用、食事や衣装と考えなきゃいけないことはたくさんあるけれど、私の特徴から、会場の立地と設備、お色直しも含めた衣装などなかなか難しい問題は山積み。プロの目線から見れば、私が想像していなかったことも問題があるんだろうなあ。
一緒に考えたいという気持ちが一番のバリアフリー
結婚式でやりたいこと、こちらの予算の都合などをひとしきり聞かれた後、私は最初から気になっていた質問を投げかけてみることに。
「車いすって考えると会場とかなかなか……自分の思ったところでできなかったりするのかな。」
「そうですよね。気になるポイントですよね。車いすのお客様をはじめ、いろいろな事情がある方も弊社にはご相談に来て頂いています。車いすだからこれしかできませんといくことはまずないので、いろいろ言ってください。私たちも一緒に叶えたいと思います。」
一緒に叶えたいという気持ちがあるだけでなんかポジティブな気持ちになる。「車いすだからコレはできない」とはじめから伝えられるとテンションは下がり、その先で上がることもないけれど、一緒に考えますと言ってくれると、たとえ無理なことが先々にあっても、それは一緒に考えた結果だからと諦めがつく。結果は同じでも、過程の違いはものすごく大きい。
「お2人の場合だと、式場内のバリアフリー設備、エレベーターとかは必要ですよね。あと、招待する方の中にも、車いすの方とかいらっしゃるんじゃないですか?」
あ、たしかに!自分の相談だから自分のことばかり考えがちだったけれど、車いすの友達も呼びたい。自分が当事者になると、案外気がつかないもの。私も何度か結婚式に行ったことがあるけれど、式場までの交通機関や式の進行によって起こる移動などはなかなか大変。
「会場内が狭いと、移動もなかなか難しいですよね。立地もそうですが、式場内のスペースも考えないといけないですね。」
自分の障害のことはよく分かっているつもりだったけれど、結婚式のような特別なイベントは、そのプロのほうが配慮すべきポイントを情報として持っている。自分の障害のことが伝わると、プロはちゃんと考えてくれるんだ。
相談すれば応えてくれる。自己完結しない。
車いすに乗っていると普段着る洋服にも悩む。ウェディングドレスや和装ならなおさら。結婚式で衣装直しをするならスムーズにできるのか、それこそリハーサルできたらいいのに。
「ヘアメイクのリハーサルは私たち無料でできるんです。ただ、衣装のリハーサルとなると費用がかかってしまうと思います。ただ、お2人がやりたいというよりも、やらなくてはならないという事情でのリハーサルなので、そこはヘアメイクさんとの交渉かな。すごくいっぱい料金がかかるということではないと思うので、私たちからも相談させて頂きます。」
やっぱり言ってみるもの。相談してみるもの。自分で無理かもしれないと諦めるのではなく、相談すれば何か解決方法を探してくれる。私の場合、トイレに行くのも一苦労で、それこそ着ているものが多ければ1回に15分近くかかったりする。式の最中だと大丈夫なんだろうか。
「基本的には会場スタッフがいろいろなことは行うことになりますが、慣れている方、親しい方が式場の近くにいるとかであれば、サポートしてもらうこともあるかもしれません。ただ、こちらで出来る範囲のことはさせてもらうと思います。」
障害があれば、普通の人よりも相談すること、懸念することが増えるのは当たり前。それを自分で解決しようとしたり、自己完結して諦めたりするのではなく、とりあえず聞いてみることって大事だなとしみじみ実感。
どうせ無理、なんてことはなかった。
相談にいく前は、どうせ相談したって無理とか難しいとか言うんでしょ?なんて、ちょっとナナメな目線から、それこそ評価・批判しちゃおうくらいの気持ちでいたけれど、相談すれば何でも応えてくれるんだということに気がついて、なんだか温かい気持ちになりました。
「たぶん、不安なことっていっぱい、これからも今だけでなくずっといっぱい出てくると思いますので、その都度おっしゃって下さいね。」
そんなこと言われると、どこまでも甘えちゃいますという気持ちになっちゃいます。
すべてのウェディングプランナーが相談に回答をもっているわけではないでしょうし、すべての式場が対応してくれるわけではないと思います。それはプランナーさんの経験や情報量もあれば、式場側のそもそもの設備環境もあるはず。
だったら、信頼できるプランナーさんを探せば良い、できる式場を探せば良い。それは障害の有無とか関係なく、心地よい相談相手と気に入った式場で挙式する普通のカップルの判断基準と変わらない気がします。「障害がある」と変に気負っているほうがもったいないなと思いました。
実際のところ、まだ式を挙げるところまでは、いってないんですけどね(笑)。
※【障害者】の表記に関して、下記の2つの理由から漢字表記とさせていただきます。
・法律上の表記はすべて「障害者」となっている
・視覚障害の方などが利用されるテキストの音声読み上げソフトが「障がい者」という平仮名表記を正しく読み上げることができないことがある
♡Special Thanks♡
今回の取材で登場したウェディングプランナー
久保陽香さん(スマ婚)