婚約が決まり結婚への準備を進めていたら、ひょんなきっかけで結婚破棄に……。婚約破棄と言っても言葉だけで「婚約破棄しましょう」と伝えて終わりになることは基本的にありません。予約していた結婚式場のキャンセルや、婚約を伝えていた人たちへ破棄になった旨を伝えるなどすべきことがあります。また場合によっては損害賠償請求へと発展することも……。もしかしたら突然あなたにも降りかかるかもしれません。今回は、頭の片隅にいれておきたい、婚約破棄となった時の流れについてまとめました。
目次
婚約は「口約束」でも成立する!
婚約とは、この先の将来に結婚するという男女の約束のことを指します。なんと、この約束は口約束でも成立するのです。しかし、口約束だけでは証拠として不十分のため、証拠を用意しておかなければなりません。例えば、婚約指輪や結納品、お互いの両親に挨拶をしたという事実があれば良いでしょう。
婚約をした男女には誠実な交際をし、結婚をする努力をしていく義務が両者に課せられます。婚姻届を出す前に、どちらか一方がこの約束を破棄したいと言い出した場合、相手に「任意の履行を求める調停の申し立て」をすることが可能となります。この調停の申し立ての際に“婚約した”という証明が必要となるのです。
調停の申し立てとなった場合「結婚」に持ち込むのはほぼ不可能
調停の申し立てを行った後に、結婚に繋がることはほとんど無いと言えます。なぜなら嫌がる相手に対して強行的に結婚を求め、実際に結婚したところで、円満な家庭が築けるとは言えないからです。
結婚には至らぬものの、裁判にて正当な理由の無い婚約破棄を求めた側は、損害賠償を請求されてしまいます。正当な理由の具体的な例としては、“相手が不貞行為をした”場合や、“相手に子供がいる事を知らされていなかった”など性的なものです。
性的な理由以外にも正当とされる婚約破棄理由とは
また相手が暴力を振るったり、侮辱をしてくる、受け入れられない信仰を持っている場合も正当な理由となり、損害賠償を求められることはありません。逆に正当な理由として認められないものは、家族や友人に反対された、なんとなく気に食わなくなったなどといった理由です。この場合、調停の申し立てを行った側が、損害賠償を請求されてしまうでしょう。
婚約破棄の流れとは?
相互で話し合いの場が持たれる
まずはお互いが話し合う場を持ちます。直接会わずにメールや電話などでも問題ありません。この話し合いの際に、損害賠償に関する裁判を行うということや、どれ位の額を請求することになるかなどを相手に伝えます。もし、この話し合いで相手が損害賠償に応じて「支払う」と言えば“裁判”になることはなく、“示談”という形で終わります。
示談にならなければ裁判へと発展
お互いの意見が食い違い、示談とならない場合は裁判となります。弁護士に依頼して訴状の作成をし、提出することから始まります。相手へ訴状を送達した後に、第一回の口頭弁論期日が決定します。その後、数回の口頭弁論を経て判決が決まります。
口頭弁論を行うために、自分たちの主張や準備書面というものを裁判所に提出します。この時に、主張を明らかにする証拠が無ければ、たとえ真実の主張であっても、無かったものとされてしまうので気をつけましょう。
婚約破棄による損害賠償とは?
発生する損害賠償額は様々です。例えば結婚式場を予約していた場合は、キャンセル料や結婚式において準備してきたものの費用です。他にも結婚するからという理由で退職していた場合、受け取れていたかもしれない給料が求められたり、心の痛みを考慮した慰謝料が発生することもあります。
また女性が損害賠償を求める時、既に妊娠中で、婚約破棄により中絶をしなければならなくなった場合、中絶費や心的外傷への慰謝料が発生します。損害賠償や慰謝料がどのくらいの金額になるのかは、弁護士に相談することで詳しく教えてもらえるでしょう。
「婚約」には様々な責任が生まれることを知ろう!
婚約は今までの付き合いとは異なり、様々な責任が両者に課せられます。なぜなら、他人同士がひとつの家族になるからです。元々は好き同士で結ばれた二人ですから、婚約破棄になるケースは極めて稀かもしれません。
しかし、いつ何が起こるか分からないのが人生です。もし突然、婚約破棄が生じた場合は冷静に対応することを心がけましょう。そして、万が一婚約破棄になったとしても、新たな人生に向けての第一歩であると前向きに受け止めていきたいものです。
(参考:弁護士ドットコム)