昨年末に終了した人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)。
「恋ダンス」が大流行し今や知らない人はいないのではないでしょうか。
今回は、ファイナンシャルプランナーの立場で、個人のお金の面から『普通の結婚』と『逃げ恥婚』の違いについて考察してみます。
目次
ドラマでの『逃げ恥婚』は、どんな契約形態だった?
主な登場人物は、「妻=従業員」「夫=雇用主」の関係で契約結婚をした、森山みくりと津崎平匡(ひらまさ)。法律上は「事実婚」という形で、婚姻届を出すことはなく、住民票上における同一世帯として一緒に住むことにしました。そして平匡からみくりに「給与から生活費の半分を引いたもの」を月末に現金で手渡しすることになりました。
家計全体のお金の流れは『普通の結婚』『逃げ恥婚』で異なる?
このカップルを1つの家計として見てみましょう。
家計全体に入って来るお金
- 平匡が勤務先からもらう正社員としてのお給料
- みくりが家庭外で働いた場合のパートのお給料
上記2つを合計したもので『普通の結婚』・『逃げ恥婚』いずれも変わりません。
家計全体から出ていくお金
- 平匡とみくりの基本生活費の合計(シェアする効果で結婚前よりは減りやすい)
- 平匡とみくりが個々に使うそれ以外のお金(お小遣いなど)
上記2つを合計したもので、基本的には『普通の結婚』・『逃げ恥婚』もいずれも変わりません。
また、社会保険(健康保険)の扶養に入れるメリットも、『普通の結婚』・『逃げ恥婚』もいずれも変わりません。
ちょっとだけ違うのは「税金」について
もし、『普通の結婚』をしたなら平匡に配偶者控除(はいぐうしゃこうじょ)および配偶者特別控除(とくべつこうじょ)という税金の優遇がありますが『逃げ恥婚』ではそのような優遇がなく、専業主婦ならその差は年10万円を上回る(『逃げ恥婚』の方が手取りが少ない)可能性があります。
結婚後に増える貯蓄の「名義」には違いが出る?
ここまで見てきたように、家計全体トータルで見た場合には、『普通の結婚』『逃げ恥婚』いずれも大きくは変わらないのですが、結婚後に増えるお金の「名義」については違いが出てきます。
『普通の結婚』では、専業主婦は自分名義の貯蓄を増しにくいですが、『逃げ恥婚』では、専業主婦が夫からお給料を貰うような形なので、妻名義のお金が増えやすくなります。
……とは言え、主婦でも自ら家計を管理して夫の収入で生活費からお小遣いまで全部カバーして、さらにパートタイムで働けば自分名義の貯蓄を増やすことは可能ですね。
さらに言えば、『普通の結婚』をした後に離婚をすることになった場合でも、夫婦が結婚している間に増えた財産は名義に関係なく各々の貢献度に応じて公平に分けるのが原則ですので、両者の実質的な違いは少なそうです。
2つの結婚形態、お金の面で最も異なることは「離婚した場合」
では『普通の結婚』と『逃げ恥婚』のお金の面の違いはあるのでしょうか?どちらの結婚にしても、その状態をずっと続けた場合においては、実質的な違いはあまりなさそうです。
しかし、離婚した場合にはどうでしょうか?
『逃げ恥婚』の場合は、もともと籍を入れてないので離婚届も必要なく、財産分与の協議をすることも(最初から名義を分けているので)不要で、さらっと別れることになるでしょう。
一方『普通の結婚』の場合は、戸籍に離婚した記録が残るだけでなく、実質的には共有財産でも夫の名義になっているケースが多いので、財産分与の協議が難航すると相互に余計な費用が掛かる可能性があります。つまり、最終的に離婚することになった場合には、『逃げ恥婚』の方が精神的な面だけでなく経済的にも損失が少ないといえる可能性が高いでしょう。
結論!ファイナンシャルプランナーはどちらをオススメする?
その関係がずっと続く場合は、『普通の結婚』の方が家計全体で配偶者に関する税金のメリットが生じやすいと言えます。
しかし、その関係が途中で終わった場合は、『逃げ恥婚』の方がトータルで見て経済的にも損失が少なく解消できそうなので、お試し的な共同生活をスタートする方法としてはアリでしょう。
そして、ふたりがその関係をずっと続けることを心から望むなら最初からストレートに『普通の結婚』をオススメします。
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